よちよちした赤ちゃんの脚はとてもかわいらしいもの。多少がに股でも赤ちゃんらしさがありほほえましいものです。ところが2020年、順天堂大学医学部 坂本優子准教授らが、世界で初めて1歳半から2歳ごろの赤ちゃんのO脚が、実は骨に大事な栄養素であるビタミンDの欠乏と関係しているということを明らかにし、大きな話題となりました。*1
赤ちゃんのO脚とは?
これまで、よちよち歩きのころの赤ちゃんのO脚に関しては「自然に治るもの」とされることが多く、骨に異常のある「くる病」と呼ばれる程度でない限り、特に治療などを行わないものでした。しかし、坂本先生らの発表によると、赤ちゃんのO脚は骨の形成にとても大切な栄養素であるビタミンDが不足していることがわかったのです。
もちろん、「くる病」も以前からよく知られているように、ビタミンDが不足すると起こる、赤ちゃんの骨の異常です。授乳期から2歳ごろまでの赤ちゃんは、O脚やくる病などの予防のために、ママパパがビタミンDを意識したライフスタイルや食生活を送ることが大切です。

完全母乳も一因?
ビタミンDが不足しがちな赤ちゃん
ビタミンDが不足しがちな赤ちゃんには、以下のような傾向があります。
- 【1】日光浴が少ない赤ちゃん
→ 過剰やUVケアや、新型コロナウイルス流行による外出自粛などで日に当たる機会が少ない赤ちゃんは、大人と同じく身体で合成されるビタミンD量が少なくなります。とくに冬場や緯度の高い地域にお住まいの方は、日光不足に注意しましょう。 - 【2】完全母乳の赤ちゃん
→ 完全母乳の赤ちゃんが必ずビタミンDが欠乏するというわけではありませんが、粉ミルクには一定量のビタミンDが含まれていることと比べると、母乳のビタミンDはママの栄養状態により左右される部分もあるため、ビタミンDが不足することがあります。
厚生労働省「日本人の摂取基準(2020年)」報告書でも、
「母乳栄養児でのビタミン D 不足は、国際的に課題となっている」
との一文が記されています。
- 【3】アレルギーのある赤ちゃん
→ 乳製品アレルギーのある赤ちゃんは、栄養のバランスをとることがアレルギーのない子に比べると難しく、他の栄養素と同じく、ビタミンDが不足することがあります。
- 【4】離乳食のバランスの偏り
→ 離乳食で、しらすや白身の魚を頻繁に摂ることは、ママの準備の面も含めなかなか難しいものです。離乳食のバランスを見直したりフォローアップミルクなどを検討するのもひとつの手かもしれません。

子どもの「くる病」の患者数も増加中!
0~15歳のビタミンD欠乏性の「くる病」の患者の調査によると*2、日本では2009年には10万人当たり3.9人だったのが、わずか5年後の2014年に12.3人と3倍以上も増えていることがわかっています。
日本人の食事摂取基準2020年版より
0~14歳までのビタミンD目安量

「日本人の食事摂取基準(2020年)」によると、生後すぐ~14歳までのビタミンDの目安量は上記の通り。成人女性と比べると、子どもでもかなりの量のビタミンDが必要なことがわかります。
紫外線量が少なくなる「冬生まれ」の赤ちゃんは今年は新型コロナウイルスの流行もあり、とくに日照時間が少なるなる傾向にあるため注意が必要です。
*2Glob Pediatr Health. 2017 Jun 1;4:2333794X17711342.