「ビタミンD」は、骨を丈夫にするのに大切な栄養素として知られていますが、じつは、ビタミンDが不足すると、免疫力の低下、糖尿病、動脈硬化、筋力低下等を引き起こすおそれもあることがあります。
また、春に気になる「花粉」や、近年話題の「発達障害」、冬や自粛期間の「うつ」症状、PMS(月経前症候群)のつらい症状の緩和にもビタミンDと関連することがわかっています。(参照:新百合ヶ丘総合病院:袴田拓先生の記事)。
ビタミンDは、太陽のビタミン!
日光で合成されます
残念ながら、日本人にはビタミンDが不足していると言われています。約9,000名の日本人の血中ビタミンD量を調査したところ、十分なビタミンD量を維持していない人が90%以上だったという報告もあるほど。*1
かつては、日本のような日照時間が十分な地域では、それほどビタミンDが欠乏することはないと言われていました。なぜなら、ビタミンDはじつは、太陽(紫外線・日光)にあたることで、身体で合成できる栄養素だからです。

日本のとくに女性や小さなお子さんは、近年、UVケアをすることが当たり前になっています。肌の老化等を防ぐためには、もちろんUVケアもとても大切ですが、UVケアによって本来、身体で合成できるはずのビタミンDの量が減り、これが日本人女性のビタミンD不足の一つの原因になっているとも言われています。
紫外線はガラスで遮られてしまうので、できるだけ外で直接日光に当たるのがベターです。木陰では、紫外線の量は日が当たっている場所よりかなり少なくなってしまいます。春・秋・冬であれば、正午前後の数時間のうち、20分程度日にあたる時間があるとよいでしょう。※夏場は熱中症に注意しましょう。
また、冬の間はとくに北海道など、緯度が高い地域に行くほど太陽光の強さが弱くなります。たとえば、東京の太陽光の強さを100とすると、札幌ではたったの30%程度になるのだそう。冬の間、とくに緯度が高い地域にお住いのかたは、日光が不足する分のビタミンDを意識的に摂取することが大切です。

新型コロナウイルスの影響で、
ますます減少する「日光浴」
そして現在は、新型コロナウイルス流行の影響で、外出やレジャーの頻度もぐんと減っています。日常的な買い物や通勤が減り、在宅で仕事をする人も増えていることでしょう。
こうなると、特別なUVケアをしていなくとも、そもそもの外出の時間・日光に当たる時間が短くなる分、これまで身体で合成できていたビタミンDが不足していることになります。外出自粛や在宅ワークを行う際は、意識的にビタミンDを摂取するとよいでしょう。
とくに、ビタミンDは不足すると、身体の免疫力の低下にもつながります。新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザやその他感染の予防のためにもビタミンDは身体にとって大切な栄養素です。この冬は特にビタミンD接種を意識してい過ごしましょう。

*1
Nakamura K et al. Impact of demographic, environmental, and lifestyle factors on vitamin D sufficiency in 9084 Japanese adults. Bone. 2015 May;74:10-7.